

自然のエレメント「風」

雨や雪と形を変え、地上に降り注ぎ、川、やがては海に流れ込む「水」
地球の自転、太陽熱、地形との摩擦により起きる自然のエレメント「風」。
その風は私たちが住む場所、大海原や山岳地方で常に吹いている。
日常生活ではあまり気にすることは多くないかもしれないが、風はとてつもないパワーを持っている。
風を掴み、海上を駆ける木造の帆船サバニ。
その風を読み、風を掴むことで自然の一部を読み解くことができる。
紡ぎだされた知恵の結晶「サバニ」
沖縄の島々に住む人々にとっては「船」というものは、食料を獲るために、移動手段として必要不可欠であった。
その必要性に迫られ、取り巻く環境に合わせ、経験で編み出された知恵・知恵と用い、新たな課題を挑戦し続け、幾度もの失敗と成功を繰り返し、「船」としての完成形を作り上げていった。
木の刳りとった小舟から、木を木で張合わせる「本はぎ」とい手法で作られるようになった船「サバニ」
島を取り囲む珊瑚礁内から大きなうねりが寄せ合う外洋までその形を変え、サバニの形状や制作手法を進歩させていた結果、高い航行性能を得たサバニが先人によって作られた。
しかし時代の流れにより、鋼、強化プラスチックの船体、エンジン付きの船が大頭し、化学繊維と機械によって、木造船サバニの数は激変していった。
自然と調和し、自然から得る材料で作り出すサバニの伝統、海洋民族の知恵は埋もれて行ってしまった。
自然環境と遠く離れた意識、資本主義の無機質な現代生活に疑問を持っていたころ、ひょんとしたきっかけで読んだ沖縄伝統の木造船サバニの本を読んだ。
その伝統と自然を調和する感覚に魅せられ、サバニ職人に弟子入りをし、サバニを作る手法を学んだ。



遊びのフィールドを広げるサバニ


サバニで海を駆ける感覚は特別。風を読み、帆に風を孕ませ、エーク(パドル)で操船をする。
すべては自分の感覚と手元で行われる。
そのセーリングの楽しみは機械仕掛けの動力とは違い、面と向かって自然と対峙している心持になる。
経験を積み上げることで船の素性を理解し、天候や海況、潮流の知識を得ることで航海のフィールドを幾倍にも広げることができる。
ガソリンも使用せず。風を掴み、漕ぐことで100%ナチュラルなパワーで旅することができるサバニ。
ヨットとは違い、喫水が浅く、キールやスケッグがないサバニは浅いサンゴ礁や川にも入っていくことができる。
ほかの島々や石垣島に綺麗な海岸線を巡りながらのセーリングやツーリングキャンプ。
外洋でのフィッシング、アウターリーフでのスノーケルやフリーダイビング、サーフィン。
マングローブの川を遡り、ジャングルトレッキングへ。
海から川まで、サバニを活用したアウトドア遊びは尽きない。
新たなマリンアクティビティとして
木造サバニの現存数は少なく、人々がサバニに触れる機会は少ない。
サバニの受注生産を行う造船業の傍ら、自然が多く残る石垣島北部でサバニにセーリングツアーを行っている。
エメラルドグリーンの砂地の浅瀬から、カラフルで鮮やかな珊瑚礁、ディープブルーの外洋の世界を中で目めぐるしい色の船旅を楽しむことができる。
アウトドアスポーツやマリンスポーツが好きな人々のためにサバニの門戸を大きく広げるため、今後は遊覧だけでなく、本格的な操船技術を身に着けることができるスクールを始め、サバニのレンタルも始める。
新たな自然派マリンアクティビティとして「サバニ」を盛り上げていきたいと考えている。
サバニを通じて今一度、先人の知恵や伝統、私たちを取り囲む自然の素晴らしさを再実感し、それぞれのフィールドに出かけて、自然と調和したライフスタイルを見つけもらいたい。
あなたの旅に良い風が吹きますように。

